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数学 Focus Gold シリーズ

を教育現場のプロが分析してみた

  • 2019年11月30日
  • 2019年12月2日
林 俊介

こんにちは!「学習塾manabi」「毎日塾オンライン」塾長の林です。

林 俊介

2019年春に東大を卒業し、自分の塾をスタートしました。毎日塾オンラインでは、身近にいい塾がなく困っている子どもたちのために、私たち講師陣が良質な授業をお届けしています。2019年12月には「授業と自習で成長する」学習塾manabiを東京都港区にオープンし、リアルでの指導も始めました。オンライン・リアルの両面で、子どもたちの夢の実現を全力サポートしています!

林 俊介

今回紹介するのは『Focus Gold』(フォーカスゴールド)。チャート式と並んで、最も有名な数学参考書の1つです。かなり難易度が高いのが特徴。試しに買ってみて、挫折した人も多いことでしょう。でも、我慢して解ききれば、大学受験で怖い問題はありません。

林 俊介

難関大数学の強力な味方となる『Focus Gold』について見ていきましょう!

教材名/出版社

教材名 数学 Focus Gold シリーズ
会社名 啓林館

この教材はどんな人におすすめですか?

教科書や「サクシード」「4STEP」などの標準的な問題集を解き終わり計算力・基礎力がついたものの、それより高度で複雑な問題になると解き方がわからずに困惑してしまうような生徒におすすめできる参考書です。

あなたの実力を、難関大合格レベルまで引き上げてくれます。

教材概要

Focus Gold (フォーカスゴールド)は、数学 I+A, II+B, III で出版されている数学参考書です。
学校教科書同様、分野別の構成です。例えば数学 I+A の場合は次の通りです:

  • 1. 数と式
  • 2. 2次関数
  • 3. 図形と計量
  • 4. 集合と命題
  • 5. データの分析
  • 6. 場合の数
  • 7. 確率
  • 8. 整数の性質
  • 9. 図形の性質

チャート式とほぼ同じで、例題&解答&練習問題で1ページという構成になっています。独自問題と大学入試問題およびその改題により構成されています。各節の最後には Step Up という練習問題よりやや難しい問題があり、各章の最後には章末問題があるほか、巻末にはチャレンジ編も用意されています。なお、最後に実践編という形で難問の解法を思いつくためのポイントが紹介されています。ボリュームたっぷりです。

最初の方は平易な問題が多いので油断しがちですが、各項目の終盤になると急激に難しくなるため扱い方が難しい参考書です。誤ったタイミングで使用すると学習に支障をきたすこともあるため、適切な使用法をお伝えすべく本書を取り上げることにしました。

教材のポイント

ポイント

  • 基礎〜大学入試レベルまで幅広い難易度の問題を網羅
  • 単なる雑談ではないコラム&Coffee Break
  • 章末問題&チャレンジ編で最難関大へ
POINT 1
基礎〜大学入試レベルまで幅広い難易度の問題を網羅
Focus Gold は、基礎〜大学入試レベルという幅広い難易度の問題が揃っています。

実際に本書を開くと分かりますが、最序盤の問題は教科書レベル。基礎知識の確認をすることができます。しかし、ある程度解き進めると一転して難問が顔を見せるのです。分野のみならず難易度の観点からも網羅性が高いというのが本書の特徴。なお、ハイレベルな問題の方が多く、ベーシックな計算問題は少ないです。

POINT 2
単なる雑談ではないコラム&Coffee Break
網羅性の高い数学参考書には往々にしてコラムがついていますが、Focus Gold のコラムは他の参考書と一味違います。

本書の「コラム」のタイトルをいくつか見てみましょう:

  • ● 見てわかる因数分解
  • ● 無理数のゴロ合わせ
  • ● グラフの移動
  • ● 同様に確からしいとは?

など

高校生がつまずきやすいところや苦労しやすいところに絞って、「そうそう、コレが知りたかったんだよ!」と思える情報を掲載。各分野の理解を深めることができるでしょう。「見てわかる因数分解」なんて、読みたくなりますよね。因数分解は数学でずっと重要なので。

「コラム」の他にも、直接的な数学の話から離れた「Coffee Break」というページがあります。トピック例は以下の通りです:

  • ● 数学は暗記科目!?
  • ● 数学が得意な人になる
  • ● 日々の授業の受け方
  • ● 定期考査の学習法

など

数学についての抽象的な話題から日々の生活まで、勉強に役立つことを幅広く紹介しています。で、実際に読んでみるとこれが面白い!難問と格闘して疲れたときに読んでみましょう。

POINT 3
章末問題&チャレンジ編で最難関大へ
Focus Gold には章末問題とチャレンジ編があります。いずれも過去の大学入試からの出題がほとんどで、自分の実力をチェックすることができます。

章末問題は各5〜10問程度しかないのですが、そこそこ難しいため時間も体力も消耗します。でもそれでいいんです。大学入試の数学は、文系でも60分はありますし理系だと120分〜150分が多いです。他科目の試験もあるわけですから、難問に長時間立ち向かう(&そこそこ正解する)力は当然必要なわけですね。

チャレンジ編(Level up 問題)では、章末問題よりもさらにハイレベルな問題に挑戦します。難関大の過去問からの出題がメインです。チャレンジ編を解ききることができれば、大学入試で怖いものはないといえるでしょう。各章を(章末問題も含めて)攻略しきった後に、ぜひ挑戦してみてください。

先生よりアドバイス・メッセージ

平易な問題に始まり、ページが進むにつれどんどん難易度が上昇していく Focus Gold。最初が簡単な問題だからといって、他の問題集に手をつけずに本書に手を出すのは NG です。各章の先頭に Check という基礎事項の確認問題があるので、それを解いてみましょう。1つでも分からない問題があれば、回れ右して教科書等を参照します

数学では、ベーシックな計算問題をたくさんこなすというプロセスを欠かすことができません。二次方程式も、因数分解も、三角比も、なんでもそうです。基礎的な演習を山ほどやることで公式が定着し、計算力もつき、難しい問題に手を出すことができるのです。まずは教科書の練習問題や学校のプリント、「サクシード」「4STEP」などの教科書傍用問題集で基礎力を鍛え、それらの教材では物足りなくなったら Focus Gold に手を出すことをおすすめします。

手をつけてからも大変です。なんといっても山ほど問題があり、大体が難しいわけですから。

主に例題&解答&練習問題で構成されていますが、まずは例題および解答を熟読しましょう。「これくらいなら絶対に解ける」と断言できる場合以外は、解答をノートに手で写します。思考停止して模写するのではなく、グラフの書き方や記述の仕方、計算過程も頭の中で追体験するのです。次に、それを自身で行います。すなわち、例題を参考にして練習問題を自力で解いてみるのです。多分、1周目だと半分も解けないでしょう。難しくて解けないものもあれば、計算ミスをするものもあります。でも、どれもあなたの実力不足です。

その節の練習問題を一通り解き終わったら、二周目に着手します。今度は例題の解答を写さなくてもOKです。練習問題をもう一度解いてみましょう。半分以上は正解できると思います。もしそれでも出来が悪かったら、同様に三周目に突入します。こんな感じで、練習問題を何周もして、確実に正解できるようにします。

節の練習問題がへっちゃらになったら、Step Up に着手します。半分は解けると思います。間違えた問題があったら、やはり解説をじっくり書き写します。しんどいですが我慢しましょう。そして、1〜2日空けてまた Step Up を解き直すのです(注:数日空けないと解答を記憶した状態で解き直すことになり、それでは意味がないので)。こうして Step Up が一通り解けるようになったら、その節の学習は終わったとみなして構いません

章の勉強が全て終了したら、いよいよ章末問題にチャレンジします。これは大変難しいです。なんといっても、ほとんどが大学入試の問題そのままですから。全然解けないこともあるでしょう。でも、いいんです。また解説を読んで、写して、理解する。そして数日後、また解き直す。転んだだけ起き上がります。難関大志望でない場合、入試本番までに解ければOKですから気楽にいきましょう。

1〜2年生のうちは、チャレンジ編をやらなくてもいいと思います。受験学年になり、数学 III (文系なら数学 II)までの学習が一通り終了したのちに解いて、難関大入試に向けた弱点把握に役立てるのが一案です。チャレンジ編でボロボロだった分野の Focus Gold を全部解き直す感じで。

章末問題を解ければ大学入試で多くの大学に合格でき、チャレンジ編もおおよそ正解できれば難関大もへっちゃらです。その実力がつく日を楽しみに、いまはこのしんどい勉強に耐えましょう。

耐えて、耐えて、耐える。ずっと苦しみながら手を動かす。勉強とはそういうものです。

この教材についてのみんなのツイート


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