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英検準1級リーディング問題

を教育現場のプロが分析してみた

  • 2019年11月30日
  • 2019年12月4日
荒川友加理

荒川です。

荒川友加理

主婦です。

荒川友加理

子供三人いて毎日自転車操業です。

教材名/出版社

教材名 英検準1級リーディング問題
会社名 旺文社

この教材はどんな人におすすめですか?

英検準1級の受験を考えている人、難関大学の受験を考えている人、英字新聞をスラスラ読めるようになりたいけど、まだちょっとボキャブラリーがキツイなという人。

教材概要

英検受験者向けであるのはもちろんですが、いろいろなタイプの長文が一冊にまとまっていて、単純に読み物としても面白いため。

教材のポイント

POINT 1
旧版と比較して、この新版は試験に出やすい単語が収められている。
とにかく長文問題より大問1のボキャブラリーの方がキツイと思うので、英検受験者はそちらの対策もしっかりと取りましょう。
POINT 2
長文問題に入る前に易し目のウォーミングアップ問題もかなり収録されている。
少し易し目のウォーミングアップ問題もわりと入っています。短いものなので、すぐに読めます。
POINT 3
とにかく長文に絞って勉強できる。
英検だけじゃなく、大学入試も学校によって様々な長文が出ます。いろいろあり過ぎてどう勉強していいかわからないという人もいるかもしれませんが、これは普段の読書習慣やニュースになるような時事問題にどれだけ触れているかも大きく関わってきます。英語もあるレベルを超えると問題の抽象度が増し、論理的思考力が要求されます。出ないのは、数学物理化学の専門的内容で、それ以外は全部出ると思ってていいかと。最近の傾向としては、テクノロジーや環境問題などが多く出されやすい傾向にありますね。はうであゆー!

先生よりアドバイス・メッセージ

まず、最初に英検受験者向けのアドバイス。

この長文がスラスラ読めない人は、大問1のボキャブラリー、つまり単語の問題におそらく手も足も出ません。なので、「長文は読めるな」くらいのレベルになったら、受験を考えてボキャブラリーも同時に攻略していく流れを一つの目安にするといいです。

また、最近では英検だけでなく、大学受験でも英作文を入試に取り入れているところが増えています。なので、普段からこういう英文を読んで、ボキャブラリーだけでなく文章の構成にも慣れておくといいかもしれません。

一つの記事を読んだあと、与えられた命題に対して「自分はYESかNOか」を考えた上で英作文はYESとNOの両方の立場から書けるように練習しておくといいです。賛成あるいは反対理由を三つ挙げなさいとあったら、YES / NOそれぞれの立場で三つ挙げてみる。対立する意見の間を常に行き来しながら考えることで、「自分がこう言った場合、相手方からはこういう意見が出るだろう」という予測も立てやすくなり、意見の拮抗が思考の深度を深めてくれます。

そしてもう一つ。
実はこれが一番伝えたいこと。

荒川友加理

moral enigma(倫理的不可解さ)を抱えられる胆力を持ってほしい

今や我々の生きる世界はあらゆる問題を抱え、それがまた一筋縄でいかないことばかり。いろいろなことが複合的に絡まり合って現実を作っているため、簡単には答えを出せないことの方が多いです。

こういった状況で、善悪二項対立の単純な思考にアッサリ落ち着かないでほしいな、というのが個人的な思いです。変数が多いと答えが出にくい方が当たり前。その気持ち悪さに「自分が耐えられなくて」変数を定数に変え、「きっとこうに決まってる」となってしまうのは、まあ若者なら思春期特有のはしかとして許容できなくもないんですが、排他性の行き着く先は連合赤軍です。

清濁併せ吞むような、矛盾を自分の中にいい意味で抱えられるような器を持てるようになってほしいなと。

最後に一つ、BBCの英文記事を紹介。

これはペルンコップ著『局所解剖学アトラス』を使用している神経外科医の人の話です。現代でもその正確さとリアルさから(人体がレイヤーごとに剥かれたようにして描かれている)高い評価を得ているテキストですが、この本を書いたのがウィーンの解剖学教授であるペルンコップという人。しかしもう絶版になっていて、それゆえアマゾンなどで中古品が7万円くらいで売られています。

絶版になった理由はナチスによって殺された人の体を使って得た知見をもとに作られているから。

記事にはペルンコップの軌跡と、それから葛藤を抱えながらこれを使用する医者の話が出てきますが、

「人を救えるのであれば、出所が何であろうと私は利用する。患者も望んでいるだろう」

とのこと。

ほらこれ、モラルエニグマ。

ちなみに記事中に出てくるswastikaが言わずと知れた卍です。マジマンジ。

荒川友加理

Ponder. There is no cookie-cutter solution.


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