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小学日本歴史年代すいすい暗記

を教育現場のプロが分析してみた

  • 2019年11月26日
  • 2019年12月10日
カナガク

こんにちは、カナガクです。ふだんは主に神奈川県内の受験生のみなさんに向けた情報発信を行っています。

カナガク

神奈川県公立高校入試に関する内容を多く扱っていますが、中学受験生や大学受験生のみなさんと触れることも多く、ひとりひとりの立場に寄り添えるような発信をできればと思っています。

教材名/出版社

教材名 小学日本歴史年代すいすい暗記
会社名 増進堂・受験研究社
編集部より
『小学日本歴史年代すいすい暗記』は残念ながら現存在庫限りで絶版となります。後継教材である『小学 100%丸暗記 歴史年代』もご紹介しておりますので併せてご覧ください。

この教材はどんな人におすすめですか?

中学受験生やその保護者の方々におすすめです。

もっとも効果的なのは、歴史の学習が始まるタイミングに合わせて使い始めることです。『小学日本歴史年代すいすい暗記』を通じて、受験生のみなさんは、どういった出来事が西暦何年に起こったのかということ(以下、「年号」とします)を、かんたんに覚えていくことができます。

この本は、歴史が苦手となっている受験生を助けてくれる一冊でもあります。ある程度までカリキュラムが進んでしまっていると、前の授業で扱われた事柄をよく覚えていないにもかかわらず、次の授業で新しいことを覚えなければならない――ということが起こります。覚えることが多くなりすぎてパンクしてしまい、歴史で点数がとれずに悩んでしまうかもしれません。

そんなとき、この『小学日本歴史年代すいすい暗記』を使って年号だけでも覚えていくことで、基礎を固めていくことができます。基礎ができているのといないのとでは、その後の学習効率が大きく違ってきます。

教材概要

国語の授業では毎回漢字のテストが行われたりします。それと同じように、社会でも少しずつ何かを覚えてもらえないかと思って使い始めたのがこの教材です。

すべての語呂合わせが五・七・五になっていて覚えやすいところが、まず魅力的でした。口になじみやすいということは、とても大切です。また、すべての語呂合わせに楽しいマンガ(イラスト)がついていることも教材選定のポイントでした。たとえば

「三国同盟? ああ、あのパスタ食べてる絵のところ!」

などと覚えていけるところは、この教材の大きな強みです(三国同盟は 1940 年)。

『小学日本歴史年代すいすい暗記』に限らず、増進堂・受験研究社「要点シリーズ」のマンガは小学生のみなさんにとても好評です。

本書2ページの「特色と使い方」などによれば『小学日本歴史年代すいすい暗記』は

たいせつな歴史の年代がすいすい覚えられる、とても便利な歴史参考書

です。

語呂合わせを用いて 128 の年号を覚えることができます。

すべての語呂合わせが「俳句調(五・七・五)」になっていて、口によくなじみます。「最初の『五』には歴史的なことがらの語句をもってきて、次の『七』には年代をゴロ合わせでよみこみました」。

たとえば

式目は 人にみぢかな 例示し
(1232 御成敗式目(貞永式目)ができる)

といった具合です。

1ページあたり2つの年号が掲載されており、語呂合わせ以外にもそのできごとの

  • 背景
  • 内容
  • 原因
  • 結果
  • 経過
  • 参考

に関する解説がついています。すべての年号に楽しいマンガを入れてあることもあり、イメージがつかみやすいです。

教材のポイント

ポイント

  • 語呂合わせで年号を覚えられる
  • 語呂合わせが覚えやすい
  • 楽しいマンガがついている
  • 持ち運びに便利で、すきま時間にパラパラ見ることができる
POINT 1
語呂合わせで年号を覚えられる
この教材の何よりのポイントは、語呂合わせで年号を覚えられることです。

語呂合わせというと、指導者のなかにはあまりよい顔をしない方もいるかもしれません。わたしもたとえば

「犬が寝るから kennel は犬小屋」

といったような語呂合わせには否定的です。

それは、語呂合わせで覚えるには対象(この場合には英単語)の数があまりにも多いから、そして、語呂合わせ以外の覚え方がいくらでもあるように思われるからです。たとえば kennnel が出てくる印象的な文章を読んだり、kennnel という音を耳で聞いたり口に出したり、発音とつづり字の関係から /kenl/ を kennnel と書いてみたり……。街でカタカナの「ケンネル」を見ることもあるかもしれません。

何かを覚えようと思ったとき、多面的なアプローチができるのであれば、それがベストです。

しかし、年号の場合には事情が異なります。まず、中学受験に出題される年号は数が限られています。さらには、年号のなかには別にその年に起こったことに歴史的文脈がないようなものもあります。794 や 1192 などはいわばただの数字ですし、小学生がそうした年号を覚えようとするなら、語呂合わせ以外の覚え方はほとんどないように思えます。

理科で不完全変態の昆虫を「かっとばせゴキブリ」などと覚えるように、また、火成岩を「新幹線はかりあげ」と覚えるように、語呂合わせが威力を発揮する学習内容は確かに存在するはずです。

POINT 2
語呂合わせが覚えやすい
語呂合わせで何かを覚えようとする場合、特にその数が増えてくると、それ自体を覚えやすいかどうかが大切になってきます。

『小学日本歴史年代すいすい暗記』ではすべての語呂合わせが五・七・五の俳句調になっていて、とてもよく口になじみます。塾の授業で

清盛は いい胸板の 大丈夫。清盛は いい胸板の 大丈夫。

などと言いながらドラミングをしていると、子どもたちはおもしろがって 1167 年(平清盛が太政大臣となる)を覚えてくれます。

最終的に五・七・五すべてを覚える必要はないのですが(つまり、この場合であれば最終的には「いい胸板」だけ覚えていればよいのですが)、入り口の段階で覚えやすいということは大切です。

POINT 3
楽しいマンガがついている
中学受験を目指す小学生にとって、教材に親しみやすいということは決定的に重要です。大手学習塾のプリント教材などを見ても、キャラクターのイラストがふんだんに使われています。

『小学日本歴史年代すいすい暗記』はこの点においてもたいへん優れています。すべての語呂合わせに楽しいマンガ(イラスト)がついていて、それぞれの出来事を強く印象に残すことができます。

子どもたちと話していても、

『学校の制度(学制)ができる』のはいつでしたっけ?

などと問いかけると、

ああっ、あのバタバタしてるマンガのやつ!

と、マンガから思い出してくれる子がいたりします。

右側のページの下のほうのマンガだ!

と、マンガの場所で覚えている子がいたりもします(学制ができるのは 1872 年です)。
こうした楽しいマンガがふんだんに盛り込まれているのも『小学日本歴史年代すいすい暗記』の強みです。

POINT 4
持ち運びに便利で、すきま時間にパラパラ見ることができる
『小学日本歴史年代すいすい暗記』にはワイド版とミニ版との2サイズが用意されています。ミニ版は特に、ワイド版もふつうに、持ち運びに便利な大きさ・重さです。そのため、本をいつも持ち歩き、「すきま時間」にパラパラと復習する――という使い方をしやすいです。

たとえば模試会場へと向かうときに電車のなかで、あるいはその会場で社会の試験の直前に、いつも使っているこの本をながめれば、落ち着いておさらいをできるでしょう。

先生よりアドバイス・メッセージ

歴史を勉強するときに年号を暗記するかどうかということについて、意見が分かれることがあります。講師によっては

「年号の丸暗記には意味がない。歴史は因果関係で理解していくべきだ」

という主張をしたりもするでしょう。わたしも自分自身が受験生だった頃はそう思っていました。しかし今は、年号の暗記も大切だと思っています。

まず、純粋に年号を知らないと解けない問題が出題されることがあります。もちろん、

本能寺の変は西暦何年に起きましたか

といったような問題が出ることはほとんどないでしょう(答え 1582 年)。

しかし

次のA、Bを、その出来事が起こった順番に並べなさい
A 加賀(石川県)の一向一揆おこる
B 足利義政が銀閣を建てる

といった問題であれば、それぞれの年号を覚えていることが、問題用紙を前にしたときに大きな自信になるでしょう。正解はA‐B。それぞれA 1488 年、B 1489 年です。

さらに、年号を覚えておくことで、無関係な(あるいは無関係に見える)さまざまな知識を繋げていくことができます。たとえばテレビのドキュメンタリー番組で、コロンブスがアメリカ大陸を発見したのが 1492 年だと知るとしましょう。すると、年号を通じて、コロンブスが足利義政と同時代に生きていたことが分かります。

加えて言えば、算数の 3.14 の段と同じように、年号も、覚えておけば圧倒的なコストパフォーマンスを発揮します。「知っている」ということはとても強力です。3.14 の段を知っていれば、円の問題の計算でスピードが上がってミスが減ります。同じように、年号を覚えておけば、歴史の問題を速く正確に解けるようになります。「知っている」というのは「考える」時間(3.14 の段であれば「計算する」時間)を減らし、「考える」ことに伴うミスを防ぎます。答案作成スピードが上がり、試験で時間的余裕がもてるようになれば、本来じっくり考えるべきところに時間をかけられるようになるでしょう。「考え」て解いた場合に比べて、「知っていて」解いた場合の方が試験後に不安になることも少ないでしょう。

日常生活のなかに歴史学習のきっかけを見つけられるようになることも、年号を暗記するメリットです。たとえば、電車で目の前に座ったお兄さんが「since 1956」とプリントされたトレーナーを着ていたとしましょう。そうすると、早ければ小学5年生の冬ぐらいには

1956 年!? 日ソ共同宣言への調印でソ連と国交が回復。ソ連の後押しで日本が国際連合に加盟した年だ!

と思えるようになります。年号と同じ数字の並びを見るたびに歴史の復習をすることになり始めます。そうすると、たとえ机に向ってカリカリと勉強しなくても成績は安定してきます。

最後に、年号の暗記は子どもたちの自慢のたねにもなります。

小学生が周りの大人たちに

ねえねえ、『古今和歌集』ができたのは西暦何年か知ってる?

とたずねて

正解は……905 年でした!

などと教えてあげることは、彼ら/彼女らの大きな自慢になるでしょう。子どもたちは何かの博士になることをとても喜びます。新幹線の名前でもアイドルのプロフィールでも、キャッキャと言いながら大人以上に覚えていきます。

年号もぜひ、その仲間に入れてあげましょう。


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