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「チャート式」シリーズ

を教育現場のプロが分析してみた

  • 2019年12月20日
  • 2020年1月7日
林 俊介

こんにちは!「学習塾manabi」「毎日塾オンライン」塾長の林です。

林 俊介

2019年春に東大を卒業し、自分の塾をスタートしました。毎日塾オンラインでは、身近にいい塾がなく困っている子どもたちのために、私たち講師陣が良質な授業をお届けしています。2019年12月には「授業と自習で成長する」学習塾manabiを東京都港区にオープンし、リアルでの指導も始めました。オンライン・リアルの両面で、子どもたちの夢の実現を全力サポートしています!

林 俊介

今回紹介するのは『チャート式』。最も有名な数学参考書の1つで、複数の「色」(難易度別)があるのも大きな特徴です。チャート式シリーズは数学以外にも様々な科目で展開していますが、今回は数学に絞って説明していきます。

林 俊介

あらゆる高校生の数学学習の味方となる『チャート式』について見ていきましょう!

教材名/出版社

教材名 「チャート式」シリーズ
会社名 数研出版

数学 I + A, II + B, III の他に、数学 I 単体など様々な科目区分で出版されています。
4つの色があり、平易な順に次の通りです。

  • 白チャート(基礎と演習)
  • 黄チャート(解法と演習)
  • 青チャート(基礎からの)
  • 赤チャート

この教材はどんな人におすすめですか?

【白チャート】
学校の授業がまだ終わっていないが、先取りして学習していない人向け。
【黄チャート】
学校の授業は終わったものの、問題演習になるとまだ手も足も出ない人向け。
【青チャート】
学校の授業は終わり、一冊だけで問題演習〜入試対策初歩までを済ませたいと考えている人向け。
【赤チャート】
学校の授業および教科書傍用問題集が終わり、難関大入試を視野に入れている人向け。

教材概要

チャート式。誰もが知っている数学参考書ですね。特に数学において学習塾での定番教材であるほか、私立学校でも多く用いられています。「大学への数学」「一対一対応の演習」シリーズでも知られる数研出版の参考書。信頼できる教材です。

チャート式の最たる特徴は4つの色があるということですね。白・黄・青・赤の4つがあり、どれを用いればいいのか分かりにくいです。迷った結果、面倒になって他の参考書を選んでしまう人も多いことでしょう。

せっかく良い参考書なのに、色選びが原因で別のものを選んでしまうのはもったいないです。そういう人を減らし、かつチャート式への理解を深めてもらうために本シリーズを選びました。

教材のポイント

ポイント

  • 基本事項の解説から演習問題までバッチリ網羅
  • 例題でインプット、練習問題でアウトプット
POINT 1
基本事項の解説から演習問題までバッチリ網羅
各色について、構成を見ていきましょう。

<白チャート>
  • Let’s Start:教科書レベルの内容の解説
  • 基礎例題:各ページの最初にある例題
  • Chart & Guide:問題を解くうえでのポイントの解説
  • 解答:例題の解答
  • Lecture:例題の考え方の詳しい説明、様々な問題に使えるように一般化した基本事項・公式等
  • EX:例題の完全な反復問題
  • ここで整理:問題のタイプに応じて定理や公式の使い分け方
  • EXERCISES:発展的な問題
  • 実践編:2020年度より実施される「大学入試共通テスト」の対策問題
<黄チャート>
  • Select Study:章扉ページに、学習到達目標に合わせて、どの問題を解くべきかを示されている。
  • Chart & Solution:問題のポイントや急所はどこか、問題解法の方針の立て方、解法上のポイントとなる式は何かを示したチャート式の真価が最も発揮されている箇所
  • 例題:自学自習できるよう解説図も豊富に取り入れた丁寧な解答付き
  • 重要例題:教科書であまり扱いのないタイプの問題や、代表的な入試問題
  • 補充例題:他科目範囲の内容など、教科書であまり扱いのない問題や入試準備に不可欠な問題
  • INFORMATION:例題の解答のそばに、解答のポイントを掲載
  • PRACTICE:例題の反復問題
  • EXERCISES:発展的な問題
  • 実践編:2020年度より実施される「大学入試共通テスト」の対策問題
<青チャート>
  • 章トビラ:その章の例題とコラムの一覧
  • 基本事項:定理や公式のまとめ
  • 例題:各ページにある問題
  • 指針:問題を解くポイント
  • 解答:例題の解説
  • 検討:例題に関連する内容や発展的な内容
  • 練習問題:例題の反復問題
  • 関連発展問題:他の単元とリンクする問題・応用度の高い問題
  • コラム:知識のまとめや発展事項の解説など
  • EXERCISES:該当単元の例題に関する問題
  • 総合演習:巻末にある、例題よりもやや難しい問題
  • 実践編:2020年度より実施される「大学入試共通テスト」の対策問題
<赤チャート>
  • 基本事項:定理や公式のまとめ
  • Check問題:必須事項が問われる平易な問題
  • 例題:各ページにある問題
  • 指針:問題を解くポイント
  • 答案:要領よく明確に自分の考えを表現できるように、答案形式で掲載
  • Lecture:例題の補足説明や注意事項
  • 練習:例題の反復問題
  • 総合演習:実力養成のための章末問題

色によらず、教科書レベルの内容の解説から問題演習までカバーしています。そしてあらゆる例題に対して、「指針」などの形で問題を解くコツが述べられているのが、チャート式の最大の特徴といえるでしょう。なお、どの色でも練習問題の解答解説は別冊になっており、大変詳しいです。

たくさんの問題解き解法のポイントを積み上げていくことで、幅広い問題に対応できるようになります。

POINT 2
例題でインプット、練習問題でアウトプット
どの色でも、メインコンテンツは例題と練習問題です。

1ページ〜見開きで完結する例題。その直後には「指針」などの形で、問題を解く方針が述べられています。これをあらかじめ読むことで、方針を踏まえつつスムーズに解説を理解できるでしょう。解説の前には「Chart」という形で最重要ポイントが明記されています。例えば二次関数の解の配置問題では「グラフ利用, D, 軸, f(0) に着目」という感じで。これを頭に入れておくだけでも、問題に着手しやすくなるのです。

これらの後にようやく解説があります。図を豊富に用いた丁寧なものです。解説の横には補足説明があり、式変形の行間を補ったり疑問点の解決をしたり、様々な機能を担っています。このように例題のコーナーが非常に充実しているのは、チャート式シリーズの大きな魅力ですね。

例題の下には練習問題がついています。これは例題に登場する数値が変わっている程度のもので、例題に完全に対応しています。例題で学んだ解法を早速生かして演習しましょう。

解説等の充実した例題でインプットし、練習問題ですぐアウトプット。この流れが整備されているので、効率的に勉強を進められます。

先生よりアドバイス・メッセージ

チャート式を使用するうえで注意すべきなのは、やはり色選びでしょう。

実は白・黄・赤・青のどれも、序盤の問題の難易度に大差はありません。しかし、各単元の終盤に向かうにつれ差が生じてきます。白チャートだと学校の定期試験かそれよりやや難しい程度のものしか出題されませんが、赤チャートだと難関大の入試問題が登場します。自分にあったものを選ばないと、苦労したり時間を浪費したりするので注意が必要です。

まず、問題集を持っておらず学校の教科書しかない場合は、迷わず白チャートを選びましょう。教科書の内容を理解しているだけの状態と問題が解ける状態は大きく異なり、レベルの高い色だとすぐに挫折してしまうためです。教科書の例題や練習問題が解けるようになったら、すぐに白チャートに進んでOKです。

学校の定期試験で平均点かそれより少し上の点数を獲得できる場合、黄チャートの使用がオススメです。定期試験レベルの問題から全国模試の簡単な方の問題までをカバーしているので、黄チャートをマスターすれば定期試験で満点近くを取れます。

定期試験はもう問題なく、全国模試でいいスコアを狙おうと考えている人には青チャートがオススメです。青チャートくらいになると結構解きごたえがあり、全国の高校生とバトルする力を養うことができます。

基礎的な内容はもう飽きた!僕は/私はあの大学しか狙っていない!という志高い高校生は、赤チャートを選んでみてはいかがでしょうか。最初の方は平易な問題ばかりですが、単元の終盤になると大学入試問題がたくさん登場します。入試の時点でどれくらいの力が必要なのかはっきり知ることができるでしょう。

色を選ぶ時間自体は勉強とは無関係なので、さっさと選んでしまいたいところですね。

チャート式の色は、以上のような基準で選んでみてください。

※なお、参考書の構成が似ているという理由で「フォーカスゴールド」と悩む高校生が多いようですが、似ているのはあくまで見た目のみ。主に難易度の面で違いがあります。白チャートや黄チャートはフォーカスゴールドより明確に簡単で、青チャートはやや簡単、赤チャートは同じくらいの難易度です。またチャート式には「Chart」という項目(解法が端的に赤字で述べてある)がありますが、フォーカスゴールドにはそれがありません。大まかな見た目が似ているからといって、同じような参考書と捉えないようにしてください。

チャート式シリーズはページ数が多く、なかなかしんどい問題集です。しかし解法を意識しつつ例題を学び、練習問題を解ききれば、どの色でも相当の実力が身につくはずです。解説を熟読しコラムや総合演習も全て吸収した頃には、数学が楽しくて仕方なくなるでしょう。

分厚さ相応の覚悟で臨み、誰にも負けない数学力を身に付けてください!

この教材についてのみんなのツイート


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