各種学習教材の概要、ポイント&解説、親や生徒に向けたアドバイスを見るなら『教材.jp』

良問の風 物理

を教育現場のプロが分析してみた

  • 2019年12月20日
  • 2019年12月24日
上村 聡

はじめまして。ペンサイエンス合同会社教育計画研究所代表の上村です。

上村 聡

かつて代ゼミ、進学Z会 、四谷学院、早稲田予備校で教鞭をとり、赤本も書いてます。

上村 聡

大学受験科目として物理を考えている人向けに、基準となるような問題集を紹介しましょう。

教材名/出版社

教材名 良問の風 物理
会社名 河合出版

この教材はどんな人におすすめですか?

物理の基礎事項はひととおり入っているが、不安な所もあって、模試の偏差値が50あたりの大学受験生。

上で「基準となる問題集」と述べましたが、これは

「高校物理全範囲において、偏差値58程度は常にとっておきたい」

あるいは

「実際の入試では、どの大学の入試においても55点はとっておきたい」

という合格のための基礎点を確実にとるための問題集であるという意味です。

センター試験で言えば、平均点プラス20点というような意味です。

運動部系の大会で言えば決勝通過。

逆に言えば、これがこなせなければ、それなりの大学に入学して、大学の講義にもついていけるかどうかというレベル。ま。単位はもらえるけどね。

てな意味です。

教材概要

一言で言えば、予備校の上から2~3番目くらいのクラスで用いるテキスト収載の問題に似ているということ。

私も予備校でのテキストづくりの経験がありますが、問題を見ると、私が選んだのと同じような問題が並んでいる。つまり、プロから見ると、テキストに使いたい問題がきちんと過不足なく載っているということがあげられます。要するに、予備校の演習授業に参加しているような効果が見込めるということ。

教材のポイント

POINT 1
解答が2種類ある
本文の後ろに略解があり、そこそこできる生徒は、ここでエラーチェックすればよい。わからん問題については別冊の解答・解説を読めばよい。この解説は、予備校授業での演習解説をコンパクトにまとめた感じで載っている。
POINT 2
つくりはシンプル
ごちゃごちゃと、基本チェックとか、基本問題とか、レベル2とか、そんなものはない。
黒一色がいい。カラフルに色分けしても意味がない。そりゃ暗記には色使いが必要だろうけど、物理的思考に色分けはいらない。とにかく手を動かせということだ。
POINT 3
問題量もちょうどよい
大問数で148問ある。ちょうどよい分量だろう。前期12週、夏期4週、後期12週、冬期・直前3週、あわせて31週あれば、1週につき4問で124問。予備校テキストのまとめ版と考えてよい。

先生よりアドバイス・メッセージ

難易度別に細かく指定などがあるわけではなく、四の五の言わずに、ぜんぶやってみろやということ。あとは志望校に合わせて赤本なり過去問演習すればよい。

ただし、これがしんどいようならば高校物理の文科省検定教科書を読みながら、さらに基礎的な問題集を選んで問題を解くことをお勧めする。場合によっては指導者の下で、物理理論を学びつつ、丁寧に問題を解くことが望ましい。

最後に、この問題集に限らず、高校物理を学習するさいの心構えあるいはコツを述べておこう。

①力学に固執するな
力学は魅力的である。特に数学の好きな諸君たちには力学は魅力的に映るかもしれない。そのために、あまりにも力学にエネルギーを注ぎ込んで、他の分野の学習がおろそかになる受験生を少なからず見てきた。

はっきり言います。力学満点でも100点満点の25点しか取れないんですよ!受かりません。

バランスよく、力学、波動、熱、電磁気、原子物理を学んでください。

②力学嫌いの勉強法。
力学の法則をそのまま使う仕事は、物理の教員以外ありません。だから力学が嫌な受験生は、力学以外から学びましょう。波動、特に光学は力学の要素はありません。また、電磁気と一緒くたに語られがちですが、電気回路はむしろ電気工学の初歩なので、とりつきやすいと思います。そうしておいて、物理への恐怖心がなくなったころに他の分野に移行しましょう。
③偏差値55以上の受験生の学習の仕方
実際の入試問題や、模試において、大問1から解けと指示はありません。同様に、一通り学んだ後は、得意なところ、好きな分野から学びましょう。
④物理初修の受験生
前記に関連して言うと、力学は他分野を学ぶための最低限の知識と考え方をさらっと学習して、次に電磁気に行きましょう。それも電磁気の最初の部分は、電気力学なので、さらっと通過してよい。次に波動、熱のどちらでも好きなほう。最後に原子物理を学習しましょう。
⑤大学へ、そして社会へ
物理を学んだあとには、理学部あるいは工学部への進学がほとんどだと思います。

理学部では物理学科や応用物理学科が中心となるでしょう。卒業後は教職も含めてわりと文系っぽいポジションかもしれません。

工学部では、建築や機械系でしょうか。力学の権化みたいなものですね。また、エンジンの学習には熱力学や波動などが役に立つ。光学はもちろん光学機器メーカーで役に立つ。電磁気は電子・情報系。IT関連、コンピューター系の企業で役に立ちます。

未来をみつめて手を抜かずに学習しましょう。

この教材についてのみんなのツイート


この教材をAmazonで見る

教材.jpをフォローして最新情報をチェックしよう!