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仲本の英文法倶楽部

を教育現場のプロが分析してみた

  • 2019年12月20日
  • 2019年12月10日
.原井

こんにちは。.原井(どっとはらい)と申します。ふだんは近畿地方某所の学習塾で、小中学生に英語と国語を教えています。

.原井

学生時代に個別指導塾でアルバイトしていたころ(そのころは高校生にも教えていました)からの学参マニアで、休日ともなれば大型書店の学参コーナーで30分以上うろうろしています。あぶねーやつだな。

.原井

それでは、今回は英文法の教材を紹介します。

教材名/出版社

教材名 仲本の英文法倶楽部
会社名 代々木ライブラリー

この教材はどんな人におすすめですか?

学校で購入した英文法の分厚い問題集にいざ取り組もうとしたものの、「わけわっかんねーんだよー!」となってしまった人

教材概要

単なる問題演習にとどまらず、その英文法問題の解説を通して、英文法の大事なところを押さえることができる本。解説は単調でなく、タイクツせずに読み進めることができます

教材のポイント

ポイント

  • 英文法の問題を解くだけでなく、解説を読んでいるうちに英文法が「わかる」
  • 参考書として、問題集として、いくつもの使い方ができる
  • 解説の文章でタイクツしない
POINT 1
英文法の問題を解くだけでなく、解説を読んでいるうちに英文法が「わかる」
よくある有名な分厚い文法問題集(その筋の用語で「厚物問題集」なんて呼ぶとか、呼ばないとか……)ってありますよね。英文法の4択問題が、これでもかっていうぐらいに何百問も並んでいるやつ。だいたい、左のページに問題があって、右のページに解説があるんですよ。

問題を解いて、間違えて、右のページで解説を読もうとします。ところが、その解説が簡素すぎて、どうにも読むだけでは意味がわからない――英語がまだ得意でない学習者には、よくあることです。

もちろん、あの手の本は「問題を解けるかどうか確認する」ことが目的であって、別にそれで英文法を理解してもらおうなんてつもりで編集されていませんから、仕方ないといえば仕方ないのかもしれません。ただ、この点を誤解している学習者が多いような気もします。英文法が「わかる」ようになるためにはひたすら、繰り返し問題を解けばなんとかなる、みたいな。

そんなわきゃありません。まともな解説を読まずに問題解いているだけで英文法が理解できたら、その人は天才的な語学センスの持ち主です。

その手の問題集は、本来「わかったこと」が使えるかどうかの、あくまでチェックとして使うもの。わけがわかっていない状態でやみくもに取り組んでも、討ち死にするだけです。

その点、『英文法倶楽部』は違います。

問題と解答だけがシンプルに並べられた別冊は39ページ。その問題が本紙でTheme1~100の200ページにわたって丁寧に解説されているのです。

いや、もう少し正しくいいましょう。問題が解説されているのではなく、その問題を解くために必要な、裏を返せばその問題を通して学ぶことができる文法事項について、見開き簡潔ではありながら的を射て親切な解説が載っている。この解説を読んでいくうちに、もともとは「ワケワカンネーし。てか、意味不明」という状態だった英文法が、まるで旧知の仲であったかのように理解できてくるのです。

POINT 2
参考書として、問題集として、いくつもの使い方ができる
この本の「本書の構成と利用法」には、次のように書いてあります。

「文法ってよくわからないしぜんぜんダメって感じだよね~」
ていう人は、始めから[III]解説編を読んでもかまわない。ていうかぜひそうしてネ。

つまり、問題集としてではなく参考書として「読んで使う」ことができるわけです。読んで使うといっても、後述するように、これまた学校で1冊は持たされているような分厚い参考書(だいたいはタイトルに「総合英語」って入っているやつです)と違って読みやすく書かれていますから、負担はそんなに大きくないでしょう。
また、こうも書かれています。

「文法は得意分野だけど、さらに得点力をアップして完璧を期すためにこの本買ってみました」ていう人は、まず[I]問題編の問題を最初に全部解いて→[II]解答編を見て答え合わせをして→各分野の正答率を出し→[III]解説編で、弱い分野の解説を集中的に読むってパターンもなかなかにグッドだ。

と、このように、もちろん問題集として使うこともできるわけですね。

僕は個別指導でアルバイトをしていたころに、とある私大の公募推薦入試を受ける高校三年生に、入試過去問をやりながら、間違えた問題の文法事項のページを『英文法倶楽部』で解説を読んで復習&類題演習するという形で取り組んでもらったこともあります。

さらにさらに。この本の使い方はそれだけにとどまりません。本の最後には問題編の全英文の日本語訳だけが並べてあるページがあるのです。

ここの日本語訳を見てもとの英文を書く練習をすると、文法の参考書である本書が、アラ不思議、英作文の問題集に!!というウラワザ的機能もこの本には搭載されているのでぜひお試しあれ。

という使用法も書いてあるのです。なるほど、そこまで徹底的に復習すれば、かなりの力が身につきそうですね!

POINT 3
解説の文章でタイクツしない

でも、解説が多い本って、文字ばっかってことでしょ? 読むのだるいんですけど……

と思っているそこのあなた。そうとも限りませんよ。

なんせこの本、重要事項だけでなく、随所に挿入されているギャグまで青字で強調されているという、類を見ない学習参考書なのだから……。

get marriedは「結婚する」というこれまた「一瞬の」動作をあらわす動作動詞だから、継続することはあり得ない。くやしかったら、3年間毎日結婚式を挙げ続けてみろ!!

じっくりと、慎重に、そう、白のスーツを着てカレーうどんを食べるときのような慎重さで取り組もう。

ジャイアンとブタゴリラの区別がつかないと「ドラえもん」や「キテレツ大百科」を見ても楽しくないのと同様に、thatとwhatの区別がつかないと英語を読んでも楽しくない。ていうか、英語が読めない。ていうか、入試に受からない。

次のルールを加えれば鬼に金棒であり、水戸黄門に印籠であり、コギャルにルーズソックスだ。

と、まあ、このように、見開きひとつについて最低でも1箇所はリラックスできるタイミングがやってくるので、肩ひじ張らずに読んでいただきたい。

先生よりアドバイス・メッセージ

上記のように多様な使い方ができる参考書/問題集ですから、「英語はあんまり得意じゃない」というレベルから取り組むことができます。到達レベルとしては、「英語が入試で武器になる」きっかけまで、といったところでしょうか。

この本に取り組もうとしてみて、それでもまだ難しく感じるなら、先に『英文法基礎10題ドリル』、それもてこずるようなら『英文法入門10題ドリル』(ともに田中健一/駿台文庫)に取り組むのがいいでしょう。

この本を仕上げたあとは、文法問題ならあらためて厚物の問題集に挑戦してみてもいいですし、『英文法・語法 最終チェック問題集』(旺文社)などの、出題分野がランダムになっている問題集に取り組むのもいいかもしれません。

また、この本を仕上げれば英文解釈や長文読解の解説に使われている用語が理解できるようになっているはずですから、それらを使ってさらに英語の力を高めていくことができるでしょう。

あなたの英語学習に幸あらんことを。

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