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小学 100%丸暗記 歴史年代

を教育現場のプロが分析してみた

  • 2019年12月10日
  • 2019年12月9日
カナガク

こんにちは、カナガクです。ふだんは主に高校受験を目指す中学生のみなさんに向けた情報発信を行っています。

カナガク

一方で、ビーカー図を描く小学生や、四面楚歌を読む高校生に触れる機会もあり、さまざまな年代の受験生に対し、それぞれの状況に即したサポートをできればと考えています。

教材名/出版社

教材名 小学 100%丸暗記 歴史年代
会社名 増進堂・受験研究社

この教材はどんな人におすすめですか?

4科で中学受験を目指すみなさんの基礎力養成におすすめです。

お通いの学習塾のカリキュラムに合わせて読み進め、少しずつ年号を覚えていきましょう。もちろん、既にカリキュラムが先に進んでしまっていても、復習用として効果的に使えます。

教材概要

『小学日本歴史年代すいすい暗記』の後継教材です。どういった出来事が西暦何年に起こったのかということ(以下、「年号」とします)を語呂合わせで覚えることができます。

サイズは前身の『すいすい暗記』ミニ版と同じ A6 版。ただし厚さが倍ほどにもなっています。その分収録している年号語呂合わせの数が 148 個に増えました(『すいすい暗記』は 128 個でした)。

中学受験の歴史の学習では、年号の暗記がとても強力な武器になります。しかし、ただの数字の並びというのはなかなか覚えづらいものです。さらに、「語呂合わせ」は指導者によって、あるいは何に対して使うかによって、賛否が分かれる指導法です。「イロモノ」のような目で見られることも多いでしょう。大手学習塾の教材ではなかなか登場しません。

そこで出番となっていたのが、前身の、増進堂・受験研究社の語呂合わせ教材『小学日本歴史年代すいすい暗記』でした。

塾での指導の際には、毎回の歴史の授業時にミニ・テストを実施し続けます。すると、多くの生徒さんが満点をとれるようになっていきます。どんなテストであっても満点はすばらしいことです。その気持ちをその子たちに素直にお伝えします。そうすると、満点に届かなかった子や、はじめは覚える気すらなかったような子でさえも、年号を覚え始めます。

年号の暗記はその子たちの確かな基礎知識となり、得点力の土台となります。さらには勉強一般に対する自信にもつながり、教科を超えた波及効果をもたらしていきます。

今回『すいすい暗記』が世代交代をするということで『小学 100%丸暗記 歴史年代』を手に取りました。初めから全幅の信頼を寄せてはいましたが、こちらの予想をさらに上回る、すばらしい教材になっています。

教材のポイント

ポイント

  • 語呂合わせで年号を覚えられる
  • 大きな歴史の流れを意識できる
  • Chapter が小分けになっていて学びやすい
  • 「サクッと1問」と「章末チェック」が便利
  • 「重要人物プロフィール」も効果的
  • Chapter ごとにつけられた年表がパワーアップ
POINT 1
語呂合わせで年号を覚えられる
この教材の最大のポイントはもちろん、たいせつな年号を語呂合わせで覚えられるところです。2世代前の『年表と年代早覚え』では五・一語事件と二・二六事件とがなかったり、1世代前の『すいすい暗記』では天保の改革がなかったりしたのですが、『100%丸暗記』ではそうした重要事項は網羅されているように思われます。

語呂合わせを何回も声に出していると、「五七五調でリズムのよい暗記文」がいつのまにか口をついて出るようになるでしょう。

POINT 2
大きな歴史の流れを意識できる
『100%丸暗記』では、年号ページの左側に、そのページが扱っているのがいったい何世紀なのかが分かる目盛りがふられています。

この目盛りによって、大きな歴史の流れのなかで、自分がいまどこにいるのかをかんたんに知ることができます。

POINT 3
Chapter が小分けになっていて学びやすい
また、『100%丸暗記』では、7つの章ごとに基調となる色が変わります。章の区切れを意識しやすいデザインです。

たとえば食べ物でも、あまりに一気にたくさん出されるとげんなりしてしまうものです。しかし、それが少しずつ出てくれば、一品一品をおいしく食べられます。そのような「提供」の工夫が――つまり、全体を7つの章に分け、1章1章の独立性を高めるという工夫が『100%丸暗記』では見事に成功しています。

POINT 4
「サクッと1問」と「章末チェック」が便利
暗記の進み具合を確認するための工夫も随所に見られます。

まず、年号暗記ページ見開き下部の「サクッと1問」。ここには一問一答形式のクイズが載っています。左ページに問題、右ページに答えというレイアウトです。これだと左ページを見ているときに右ページを視界から外せるため、「消えるフィルター」なしでもセルフ・チェックをかけていくことができます。

また、7つの章のそれぞれに付けられた「章末チェック」も便利です。「章末チェック」は年号を覚えられているかを確認できるミニ・テストです。ページを折ることでかんたんに答えを隠せます。電車のなかで高校生のお兄さん・お姉さんを見ていると、英単語帳の端を折って勉強している姿を見ることがあります。ちょうどそれと同じように、答えとなる年号を折って隠しながら知識の定着度合いを確かめることができます。ご家庭でこのページだけをコピーしてペーパー・テストにするのもよいかもしれません。

POINT 5
「重要人物プロフィール」も効果的
各章末に付けられた「重要人物プロフィール」も学習に効果的です。

子どもたちにとって学びやすいのは具体的なもの、学びづらいのは抽象的なものです。たとえば算数の図形問題でも、センチメートルで計算を進められる問題は解けるのに、マル付き数字の比の問題は解けなかったりします。具体的にイメージできるものほど扱いやすいのです。

この点、歴史上の人物というのはとても具体度が高く、学びやすい対象です。『100%丸暗記』では各章ごとに主要人物のプロフィールがまとめられていて、男女・生没年・出身地・人物年表などを確かめることができます。「男女」から入るあたり、小学生のことをわかっている増進堂・受験研究社らしいと思います。

小野妹子は男性でしょうか、女性でしょうか? 「妹」ですよ!? 「子」ですよ!!?

などと楽しく勉強できます。

POINT 6
Chapter ごとにつけられた年表がパワーアップ
『すいすい暗記』から後継の『100%丸暗記』になって、章ごとにつけられた年表もパワーアップしました。特に

  • 日本の文化
  • おもな人物

という帯が加わったことが大きいです。

歴史の学習において文化史はついつい手薄になりがちです。そこを年表のなかで補ってくれるのが、指導者にとってたいへん助かります。絶対に覚えておきたい重要事項だけを取り出しているためゴチャゴチャとしておらず、それでいて「ラジオ放送が始まる(1925 年)」などといった形で、忘れずに発展の芽が埋められています(1925 年は普通選挙法・治安維持法と同年)。

人物の重要性については前述の通りです。年表のなかで、こちらも重要人物だけがしっかりと網羅されています。他の歴史マンガで出てくるような「ヤマトタケル」や「真田幸村」などは書かれていないのですが、受験勉強のための参考書として適切な判断だと思います。

先生よりアドバイス・メッセージ

本書は、その表紙カバーに書かれている通り、

「年代+αも楽しく学べる!」

という参考書です。

ぜひお手元に置いて、ご家族で年号を暗記していって頂きたいと思います。そして、ことあるごとに内容に触れていってください。

たとえばきょうが 12 月 21 日であれば、

12 月 21 日……、1221 ……!! そうだ! 1221 年といえばあの年じゃないか!?

などと、積極的にお子さんに絡んでいきましょう。嬉々として、あるいは面倒くさそうに

承久の乱の年でしょ?

と答えてくれるはずです。

中学受験のための時間は、親子で過ごせる最後の濃密な時間かもしれません。お子さんは中学校へと進めば、どんどんと彼の/彼女の世界へと進んでいって、親から離れていってしまいます(そして、そうあるべきなのでしょう)。

だからこそ、中学受験では楽しい教材を使って、ゲラゲラ笑いながら学習を進めて頂きたいと思います。本書のマンガに出てくる

といったような、どうしようもないようなギャグを、子どもたちに投げかけてあげてください。きっと彼ら/彼女らのなかに、知識とともにかけがえのない家族の思い出が残ることでしょう。


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