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コヨーテ

を教育現場のプロが分析してみた

  • 2019年12月20日
  • 2019年12月17日
末廣泰翔

合同会社ディープグラウンド(烏山進学教室)の末廣です。
東京都世田谷区で中学受験の塾を経営しています。

末廣泰翔

中学受験のalternativeな塾になるべく、オリジナルカリキュラム、オリジナル教材にて運営しています。「塾内通貨」があったり、「考える楽しさ」につながるものは何でも採用しようという塾です。

末廣泰翔

その中の一環として、ボードゲームを一部授業で採用しています。
また、プライベートでは5歳と2歳の娘がおり、知育的な面でも、ボードゲームを活用しています。

末廣泰翔

ボードゲームの所持数は1000ほどです。おそらく(怖くて数えるのを辞めました(笑))
今回は大人から子どもまで幅広く頭をフル回転で楽しめる「教材」をご紹介します。

教材名/出版社

教材名 コヨーテ
会社名 New games order

この教材はどんな人におすすめですか?

小学校3年生くらいから遊べます。マイナスの概念も出てきますが、少し教えてあげれば問題ありません。大人数の方が楽しいゲームなので、親族で集まるときや小学生の授業がある塾にもおススメです。

教材概要

プレイヤーは数字の書かれたカードを1枚ずつおでこのところに相手に見えるように掲げます。自分に自分のカードは見えませんが、自分以外のプレイヤーの掲げるカードは見えています。これを基に場の合計値を推測するゲームです。また、各プレイヤーはウソをつくことで相手の推測を邪魔することもできます。

論理力と心理戦のバランスが非常に取れた名作です。大人から子供まで幅広く、一緒に遊ぶことができます。5人以上でのプレイがおススメです。

ルールはこちらの短い動画をご覧ください。

教材のポイント

POINT 1
計算力が身に付く
このゲームでは、絶えず場の数の合計を計算しなくてはいけないため、計算力が身に付きます。「場に出ている最も大きい数字を0にするカード」などもあるため、単なる合計よりもその計算は複雑になります。「×2」のカードでは、( )を使った結合法則も体感することができるでしょう。

計算力が身に付くというよりは、身に付いた計算力を楽しく発揮することができるという表現の方が適切かもしれません。この点については、私のボードゲームに対する考え方にも触れるところですので、後ほど述べます。

POINT 2
論理的思考力が身に付く
自分より前のプレイヤーの発言や、これまでに使ったカードからいま場に残っているカードを考えることで自分のカードを予測することができます。しかしさすがに最初から「これだ!」と決定することは難しいので、ある程度の選択肢から場の動きを観察して少しずつ絞り込んでいきます。このように「仮説を立てて検証する」ということを身近に体験することができます。
POINT 3
心理戦を楽しめる
このゲームでは「ウソ」をつくことも許容されています。「ウソ」というか「ハッタリ」ですね。実は、上手な「ウソ」というのは、大人が考えているほど子どもにとって簡単なものではありません。真実を正確に認識したうえで、もう一つの事実を作り出す必要があるからです。

なお、このゲームによってウソが上手な子どもに育ったとしても、私は一切の責任は負いません(笑)

先生よりアドバイス・メッセージ

先ほど少し書きましたが、私はボードゲームをして「○○が身に付きます」と表現するとき、この○○にあまり具体的な力を書くことを好みません。

例えば、「自分で考える力」といったときの「考える」くらいならいいのですが、今回の「計算力」くらい具体的な表現はあまり好んで用いません(「でも書いてんじゃん!」というツッコミがどこからともなく聞こえてきそうですが、この意見を書くためにあえて書きました)。

職業柄、幼稚園児の保護者様などから「計算力が劇的につくボードゲームを教えてほしい」とか「算数が驚異的にできるようになるボードゲームを教えてほしい」という声がよく寄せられます。

この点に関して、元も子もないことを申し上げます。

計算を得意にしたければ、計算の訓練を継続することが最も近道です。
算数を得意にしたければ、毎日算数の勉強をしましょう。

「なんだよ!『中学受験の風雲児』とか言ってボードゲームを紹介してるって言ったから読んだのに」と思われた方、すみません。

でも、これは否定のしようのない事実です

では、今回のゲームはどこが「教材」としておススメできるのか。

それは、身に着けた計算力を楽しく発揮できる点です。

ボードゲームの根底は、どこまでいっても「楽しい」ということに尽きます。「計算力を付けるため」にやるのではなく、培った「計算力を楽しく使う機会の1つとして活用していただければと思っています。

子どもたちにとっては、学校で習ったことやできるようになったことを活用する場面があるというのは、とても誇らしいことで、その後の学習の導線にもなっていくのではと思っています。

このように書きましたが、コヨーテが先の実体験を作る場合があってもいいと思います。例えば、場の合計がマイナスになったり、全部2倍して足しても、全部足してから2倍しても答えは同じ、などは、実体験が先にあると、「座学」として習うときの理解を助けるでしょう。

この教材についてのみんなのツイート


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